画家:アーガ・ペーザード(イラン、1894-1968頃)
解説: モナ・ケイブ
博士とも呼ばれる東方の占星術の学者たちは、ルネサンス絵画のキャンバス上では厳かに背筋を伸ばして歩み、家庭のテーブル上ではキリスト誕生の瞬間を模したミニチュアの一員として姿を見せます。また、教会の講壇の舞台では長いガウンをまとった子供たちがその役を演じ、三博士が厳粛な面持ちで貴重な贈り物を捧げた様子を再現します。中でも最も典型的なのは、三博士がひざますいている姿でしょう。この姿勢は真摯と敬意の表わです。
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この「東方」とは、私たちが教えられた頃ではベルシア、今日のイランのことです。博士と同郷のイラン画家によって描かれた三博士です。三人揃って崇拝者らしく膝をつき、待ち望んでいたまだ赤子の王に近づこうて目を丸めています。この時ばかりは礼節も忘れ、幼子を見下ろして目を凝らすように見つめています。父ヨセフは、この三人の訪問者が争うようにして、妻マリアが産んだばかりの赤ん坊のそばに寄ろうとしているのを驚いた様子で眺めています。三博士をこんな風に描いたのは、もしかしたら画家アーガ―・ベーザード自身の飲酒と麻薬にまつわる体験によるものかもしれません。その絶望感から、その後、「時の約束」をされた存在となる赤子の前で、恭しく畏怖している三博士を描くことになったのではないでしょうか。キリストの前に立ったベーザードは、ちょうどリハビリを終わり、人生をやり直し始めた自分の姿と、将来、人類のの救世主へと成長することになる幼子と初めて対面することで人生をやり直し始めて三博士の姿とを重ね合わせたのかもしれません。東方の三博士と画家ベーザードは、私たちがキリストの前にひざまずく度にチャンスが与えられることを私たち一人一人に思い出させてくれます。
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