画家:J.カーク・リチャ―ズ(アメリカ、現代画家)
解説: モナ・ケイブ
神様の奇跡、人類の救世主となるべく誕生された幼子がここにおられます。もちろん聖母もすぐそばにおられます。自然な色合いの服は、いかにも大工の妻となった少女マリアが着ていそうな、手織りの粗大い手触りを彷彿とさせます。ここにはこの母の姿がなくてはなりません。幼子が持つ永遠性に注目するあまり、母はまるで脇役か添え物のように扱われ、この母も幼子同様に奇跡の人あることが忘れられがちです。
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イスラエルの民が何世代にもわたって待ち望んできた約束が果たされた奇跡、イスラエルの民が奴隷と圧制、支配国からの憎悪、そして自分の内宿る不安と疑惑を生き抜いた奇跡、万物の創造主が、その手に余る人間を見放すことなく、預言者や告げをもたらし、牧師や指導者を送り続け、神を崇める人の輪の中に常にいて愛して下さっているという奇跡。
けれども聖母マリアが奇跡である理由は、国々に光をもたらすために選ばれた人々の一人であるということだけではありません。真の奇跡は、マリアが「はい」と答えたことです。周囲から迫害されるかも知れないという混乱と怖れ、更にはもっと理性的で分別ある心が、「少しお待ちください」と言ってもおかしくなかった受胎の瞬間に、この若い少女は信仰によって、逆に「私はここにおります。私は主のはしためです。お言葉どおりこの身になりますように(ルカ1:38)」と言ったのです。聖母マリア――なんという奇跡でしょう。このマリアの従順さを私たちの手本としましょう。マリアの言葉を私たちの祈りに響かせましょう。
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