神様の領域聖歌 243番 Hiding in Thee

聖歌243番 たかきいわよ

作詞;ウィリアム・O・カッシング (1823-1902)
作曲;アイラ・サンキー (1840-1908)
引照聖句---詩篇31:2

「しかし主は、わがとりでとなり、わが神は、わが避け所の岩となられました。」詩篇94:22

ウィリアム・O・カッシングは、アメリカの東部において、20年以上に渡って牧師として良い仕事をした。1870年に、妻に先立たれて後、健康上の理由から、活動的な奉仕から引退せざるを得なかった。この期間に、彼は、賛美歌を作詞することに、強い興味を持つようになり、アイラ・サンキーやロバート・ローリー、ジョージ・ルートなどの福音音楽家と協力して、300以上の賛美歌を作詞した。

カッシング氏は、「たかきいわよ」を作詞したことに関して、次のように書き残している:「『たかきいわよ』は、1876年ニューヨークのモラヴィアにおいて書かれた。この賛美歌は、あふれ流れる涙であり、激しい心の葛藤であり、この世が知ることのできないものを熱望する思いであると言うべきです。その背後には、たくさんの戦いの歴史がある。しかし、この賛美歌が生み出されるきっかけは、サンキー氏の呼びかけであった。彼は、『私の福音の働きを助けるために、何か新しいものを送って下さい』と言った。そのような働きをしている人からの、そのような目的の呼びかけは、神からの呼びかけのように感じた。それで、私はその呼びかけを真剣に考え、『主よ。あなたの栄光を現すものを何か、私にお与え下さい。』と祈った。」このように待ち望んでいる間に「たかきいわよ」という詩が生み出された。サンキー氏は、メロディーをつけ、彼の才能が、この賛美歌に翼を与え、主の用にかなう賛美歌とした。

ウィリアム・C・カッシングは、この他、「くらき谷はきえうせん」(聖歌624番)、「ふたたび主イエスの」(賛美歌458番)の作詞者でもある。アイラ・D・サンキーは、しばしば、「ゴスペル・ソングの父」と呼ばれる。なぜなら、彼は、この新しいタイプの賛美歌をD・L・ムーディと共に行った伝道キャンペーンに大々的に用い、その福音賛美歌集を広く出版し配布するために熱心に働いたからです。「聖歌および独唱曲集」という一つの歌集だけでも、最初の出版から50年の間に、8000万部以上が売れたと言われている。この本は、今なお、出版され使われている。この歌集は、サンキーが、P・P・ブリス、ジョージ・C・ステビンスと共同して出版した福音賛美歌集1~6巻と同様、今日に至るまで、福音的教会の音楽に、絶大な影響を及ぼし続けている。

詩篇や、賛美歌、霊的な歌を歌うことは、16世紀のプロテスタント宗教改革時代から、公の礼拝の重要な一部分であったが、サンキーは、‘無頓着な人々を覚醒させ、頑なな人々の心を溶かし、求道者をイエス・キリストに導くよう計算された’、会衆賛美の様式を導入した。同僚であるD・L・ムーディーが、偉大な説教者であるように、サンキーもまた、救いの福音をその歌声によって語る偉大な説教者であるとしばしば言われた。

30年近く、サンキーとムーディは、アメリカとイギリス両国のあらゆる場所で、福音の働きにおいて、不可分であった。サンキーの滑らかで、教養ある振る舞いは、ムーディの貧相な英語と衝動的な振る舞いを補い、整えた。彼らは、しばしば、「福音奉仕におけるダビデとヨナタン」とたとえられた。

アイラ・サンキーは、専門的な発声練習を全く、あるいは、ほとんどしていなかった。彼は、いつも、小さなリードオルガンの伴奏で、単純に歌ったが、注意深い発音の仕方と、豊かな感情と表現を心がけた。彼の声は、適度の音域のまれにみるすぐれたバリトンと描写された。ある英国の新聞は、次のような記事を載せた。

声楽家としてのサンキー氏に匹敵する人は多くはない。非常に豊かな声量を持ち、絶妙な技術で、福音メッセージのパトスを表現する。その歌詞は非常に単純であるが、愛と優しさに満ち、常に、聴衆に著しい影響を及ぼす。しかしながら、サンキーしの努力に伴うこの祝福が、主として、彼の美しい声と芸術的な表現によると思うことは、全くの誤りである。疑いもなく、その美しい声と表現力は、感情をかき立て、音楽の味わいを満足させるのに、十分ではあるが、サンキー氏の力の秘密は、彼の歌唱の賜物にあるのではなく、スピリットにある。歌は、その表現にすぎないのである。

他の著作家は、サンキー氏の歌う姿について、次のように書いた。

彼のバリトンの声には、非常に人を魅了する何ものかがある。彼は、歌の節と節との間に間を置く歌い方をするが、その間、大聴衆は、全く沈黙しているのだ。

「たかきいわよ」は、1877年、ロバート・ローリー、ウィリアム・H・ドアン、アイラ・サンキーとによって編纂された「喜びのおとずれ 'Welcome Tidings'」と題された賛美歌集に、初めて収められた。聖書の「私の力の岩となり、強いとりでとなって・・・(詩篇31:2)」という御言葉がその賛美歌の前置きであった。アイラ・サンキーは、また、聖歌429番「九十九ひきの羊は」や、聖歌490番「われはおさなご」などの作曲者でもある。

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